調節を司る毛様筋が緊張して、軽度の近視を生じることがあります。この場合は治療により正視にもどる可能性があるので、仮性近視と呼ばれています。
仮性近視と診断された場合は、寝る前に調節麻痺の点眼薬をさすことにより、寝ている間に毛様筋がリラックスし、近視が改善することがあります。
また、ワックという機械を使い、毛様体筋の柔軟体操および望遠訓練を行います。機械をのぞいて両目で遠近感のある写真をみるだけです。5分程度で、写真も変わりますのでお子様でも飽きずに治療できます。写真が離れたり近づいたりするのを目で追っているうちに、毛様体筋がゆるんだり縮んだりを繰り返し、緊張が取れ、水晶体も厚みの変化を繰り返し、仮性近視の改善を促します。
当院では、ワックを行なっておりますので、学校帰りのお子様たちも数多く来院されます。仮性近視ではない軽度近視の始まりの場合は、調節麻痺の点眼で近視を改善することは困難ですが、進行を遅らせる可能性はあります。しかし、黒板が見にくくなった時点で眼鏡を作製することになります。
近視は屈折異常の一種で、遠方から目に入ってきた光が網膜より手前で像を結び、物がぼやけて見える状態です。近視は、眼軸長(角膜から網膜までの長さ)が正常より長すぎるか、角膜・水晶体の光の屈折力が強すぎることにより起こります。
●近視の原因
近視の原因は現在のところ、よくわかっていませんが、遺伝的な要素と環境が関係すると考えられています。遺伝的な要素としては、親が近視の場合、子供が近視になる可能性は比較的高く、遺伝的な要素が複雑にからんでいると考えられます。環境としては、勉強、読書、テレビ、コンピューターゲームといった近くを見る作業を長く続けていると、目が疲れ、好ましくないのはいうまでもありません。しかし、こういったことが近視の原因になるかどうか、はっきりした証明はありません。
●近視の治療
眼鏡やコンタクトレンズを使って矯正するか、手術などの方法で近視を治すことが可能です。
【近視の手術をご希望の方へ】手術のやり方を説明したパンフレット・ビデオ・まんがを差し上げています。手術を受けて見ようと思った方には、中京グループの近視矯正手術専門クリニック「名古屋アイクリニック」をご紹介します。ここでカウンセリングを受け、説明会に出席して、納得したら手術をお申し込みいただくことになります。手術は保険適応ではありません。自費となります。
角膜はその頂点(正面から見た場合の中央、眼軸上にある一点)を中心に、全方向均一なカーブを描いています。均一でなく、方向によってゆるいカーブときついカーブがあると、光の焦点は二つに分かれてしまいます。これが乱視です。症状は、物が二重に見える、視力がよくない、などです。
●乱視の治療
正乱視は、一方向の屈折率を強調して変える円柱レンズを用いた眼鏡(または特殊なコンタクトレンズ)で矯正できます。不正乱視は眼鏡では矯正できず、ハードコンタクトレンズを使用します。コンタクトレンズと角膜の間の隙間が涙で満たされ、その涙がレンズと同じ働きをするので、不正乱視が矯正できます。乱視の矯正が不十分な場合やコンタクトレンズが使えない状態では、レーザー手術や角膜移植によって治療します。
調節をしていない状態で光(平行光線)が網膜より後ろで焦点を結んでしまう状態です。遠くのものも近くのものもはっきりと見ることができません。このため、つねに毛様体を緊張させて、水晶体を厚くした状態を維持しなければなりません。
●遠視の症状
眼精疲労を招いたり、調節しきれない場合には物がぼやけて見えてしまいます。とくに近くを見るときは、より強い調節が必要になります。
●遠視の治療
凸レンズを用いて矯正します。
●遠視の注意点
幼児期は眼球も小さく眼軸長が短いため、遠視であることがふつうですが、その程度が強い場合に放置していると、弱視の原因になります。また成人では、緑内障(閉塞隅角緑内障)になりやすい傾向があります。
斜視は弱視の原因となります。左右の両眼はつねに連動して動き、物を見るときはそこに両眼の視線が向いて、真っすぐになります。これがうまくできず、左右の眼の視線が一致しないことを斜視といいます。
斜視では片方の眼で物を見てしまうので、使われないもう片方の眼の視力が育たず、弱視になります。斜視の原因両眼の視線を合わせようとする脳の機能が悪い場合と、眼球を動かす筋肉に原因がある場合、遠視の影響で強い屈折調節が必要な場合に内斜視になる場合があります。
●斜視の治療
眼球を動かす筋肉の位置を手術でつけかえたり、筋肉の強さを調節して治療します。遠視による内斜視は、メガネで遠視を矯正すれば治ります。
弱視とは、乳幼児の視力の発育段階に、なんらかの理由で網膜にはっきりと像が写らず、刺激が加わらず、視力が育たなかった状態を指します。
●弱視の治療
視力は10歳前後まで伸びる可能性がありますが、1~3歳以前の伸びに比べると、それ以降の伸びはごくわずかです。弱視を防ぐためになによりも大切なことは、弱視につながる原因をできる限り早く見つけ、取り除くことです。斜視であれば手術治療、屈折異常や不同視なら屈折矯正、形態覚遮断ならその原因の除去・治療を早めに行い、弱視になるのを防ぎます。弱視の眼や弱視になりそうな眼は、そのままでは抑制がかかり、使われずにますます弱視が進みます。これを防ぐために、よく見えるほうの眼を1日数時間遮蔽し、弱視眼を強制的に使うようにします。弱視がある程度改善したあとは、物をいつも両眼で見るようにするための訓練を行います。
【眼鏡に保険】
弱視や斜視こどもの治療用なら厚生労働省によると弱視用眼鏡は2万6460円を上限として、実際に払った金額の7割が給付されます。(3歳以上9歳未満の場合)。例えば3万円の眼鏡を購入した場合は、7割の2万1000円が支給され、5万円の場合は上限の2万6460円が支給されます。
申請に必要な書類は
(1) 治療用眼鏡の領収書
(2) 先生による治療用眼鏡処方箋の写し
(3) 検査結果
加入している健保組合などから支給申請書を入手し、書類を添付して提出します。